子育て政策の勉強会「子どもの『心』を育む保育・子育て」のご報告。

8月4日、子育て政策の勉強会「子どもの『心』を育む保育・子育て」を開催しました。保護者、保育士の方々をはじめ、多数の皆様にご参加いただき、現場からの実態報告やご意見をお聞きすることができました。お忙しいなか講演を準備していただいた京都大学准教授の大倉得史先生、当日までのアンケートや当日の保育ボランティアなど、ご協力くださった皆様に心よりお礼を申し上げます。

保育の「質」とは何か

大倉得史先生からは「子どもの『心』を育む保育」について講演をいただきました。

アメリカでの調査から、幼児期に「良質の保育」を受けることは、子どもたちの人生に大きな影響を及ぼし、進学率の向上などの効果をもたらし、福祉関係費の節約や税収増などにより、社会全体の利益につながっていくことが紹介されました。

そして「良質の保育」、「保育の質」とは何かについて「3つの側面」から報告されました。

1つは、保育者の子どもへの積極的関わり、優しさ、愛情、学びの活動、設備や素材の適切性/プロセスの質

2つは、子どもと保育者との比率、保育者の専門的訓練/条件の質

3つは、保育者の労働条件、賃金や退職率/労働環境

昨今、英語教育や楽器演奏など、大人が見て喜ぶような「保育」を売りにしている施設もありますが、

幼児期の子どもたちにとって最も大切なことは「心」を育てることである。

私は私の心/自分自身が大切な存在であることに自信を持てる心

私は私たちの心/自分のまわりの人たちを大切に思い、喜びあえる心

この「二つの心」を「やじろべえ」のように伸ばしていくことこそ、保育者が目標にすべきこと。

と強調されました。

ところが、今、政府が「待機児童対策」としてすすめているのは、このような「保育の質」を高めていく方向ではなく、とにかく「詰め込む」ための保育士の配置基準の緩和、そして「安上がりの保育」を広げるための規制緩和、公立保育所の民営化です。

大倉先生は、京都市立病院の院内保育所「青いとり保育園」で起こったリアルな事例を紹介しながら、このような保育を「コスト」としてとらえる政治の姿勢を厳しく批判されました。

子育てアンケートに寄せられた声

この勉強会に向けて、短期間でしたが、子育てについての声や要望をお聞きするアンケートに取り組みました。約80人の方から回答をいただき、寄せられた声をふまえて「子育て・保育提言(案)」を作成し、提案しました。

保育料が高い。将来の学費が心配だが、貯金をする余裕がない。

アンケートでお聞きした「希望する子育て支援施策」でもっとも多かったのは「保育料の値下げ」(61%)、「子どもの医療費無料化の拡充」(61%)など、経済的な負担の軽減策でした。現在の負担の重さとともに、将来の学費負担への不安も含めて、多くの方が、子育て・教育の負担軽減を求めておられます。

京都市による「子どもの生活状況等に関する調査」(2017年3月)でも、求める子育て支援では「生活や就学のための経済的補助」が、59.6%でもっとも多くなっています。

安心して育児・子育てできる環境で働きたい。

次に多かったのは「労働時間の短縮により家族ですごく時間を増やしたい」(55%)でした。長時間労働、変則的な働き方が広がっているもとで、多くの保護者の皆さんが、仕事と子育ての両立に悩んでおられます。

「社会全体が長時間労働になっていることを改善してほしい」「子どもが早く寝られるように就労時間短縮制度(の拡充)を」といった声もありました。育児・介護休業法では、3歳未満の子を持つ労働者について短時間勤務制度などを設けることが義務づけられていますが、給与の保障がないなど使いやすいものになっていません。

両親が近くにおらず、子どもを気軽にあずけられない。

また、「気軽に相談できる窓口、すぐに子どもを預けられる場所がほしい」など、仕事の都合などで急に保育が必要になったときに、子どもを気軽に預けられる場所がないという声が多くありました。

京都市の調査でも乳幼児期の保護者が求める施策のトップは「保護者が家にいない時に子どもを預かる場やサービス」(45.9%)となっています。保育園での「一時預かり」の制度もありますが、実際には定員はすぐに埋まってしまい、気軽に使えるものにはなっていません。

保育士の配置を増やして−−保育の現場から切実な声

勉強会では保育の現場からリアルな声が出されました。「子どもの『心』を育む保育」を実践していく最大の保障は「人の配置」です。保護者の労働時間が長くなり、保育時間も長くなっている一方で、保育士の配置基準は長らく変わらず、一人ひとりの子どもの育ちを見守る保育士の体制が厳しくなっています。

ある保育士さんの発言から…

夏のプールがはじまり、事故を防止するための監視体制に、園長や主任も入っている。子どもたちの「見ててなー!」コールに、あちこち見回しながら「見てるよー」と答えているが、子どもが水から顔を上げたときには別の子を見ていることもある。先生が見てくれていると思いながら顔をつけているのに、上げたときに見てくれていなかったときの子どもの気持ちを思うと…もっと保育士がいてほしい!

ところが政府や多くの自治体は、待機児童を減らすためにと言って、逆に保育士一人当たりの子どもの数を増やしていく方向で規制緩和をすすめています。

大倉先生の報告では、日本の保育士の配置基準は上の表のようになっており、イギリス、アメリカと比べると、そもそも3歳〜5歳児の配置基準が極めて緩くなっています。この基準をさらに緩和していく方向なのですから、現場から切実な声が上がるのも当然です。

子育てにもっと予算を

この貧困な保育政策の大もとには、税金の使い方の問題があります。大倉先生に紹介して頂いた「OECD保育白書」(2011年)によると、

政策、サービスおよび運営・管理に対して相当額の公的投資がなければ、親がサービスを利用できる機会もサービスの質も崩れる。

乳幼児の分野では、市場原理の法則では不十分である。

規制のない市場化の影響は、乳幼児の教育や発達に深刻な影響をもたらしうる。

質の高いサービスを維持したいのであれば、政府は民間事業者に資金補助し、監督し、管理する必要がある。

とのことですが、日本の「幼児教育・保育への公的投資」を対GDP比で諸外国と比べてみると、以下のグラフのように、アメリカをのぞく各国に比べて大きく遅れています。

内閣府「少子化に対する諸外国の取り組み」より

そもそも日本国憲法は、すべての国民、子どもたちが健康で文化的な生活を送る権利を保障しています。お金があるかないかを基準にするのではなく、憲法に保障された権利として「どの子の未来も希望」と言える日本をめざしていきたいと思います。

勉強会での大倉先生の講演、出されたご意見をふまえて、「子育て・保育提言(案)」を練り上げ、発表させていただきます。

 

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ちさか拓晃

ちさか拓晃

日本共産党・衆議院京都2区(左京区、東山区、山科区)予定候補、党府委員会常任委員(青年・学生部長)。
1973年生まれ、1991年大阪府立今宮高等学校卒業、1996年京都精華大学美術学部卒業。
左京区修学院在住、家族は妻と4歳女子。

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